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活動記録

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2018/01/08

関東支部第23回秋季研究大会報告

Tweet ThisSend to Facebook | by KONTA Kenzo
関東支部第23回秋季研究大会報告
 2017年11月5日(日)に東京家政大学において、英語授業研究学会関東支部第23回秋季研究大会が行われました。各プログラムの参加記をご紹介します。ダウンロードはこちらから→英語授業研究学会・関東支部第23回秋季研究大会参会記.docx

ビデオによる授業研究と協議(高校)9:45~11:05
「コミュニケーション英語Ⅰ:生徒の学びを深める-teacher talkの工夫を通して-」
授業者:中島 利恵子(新島学園中学校・高等学校)
司 会:八木 孝之(都立新宿山吹高等学校)
解 説:工藤 洋路(玉川大学)
研究協議サポート:関東支部運営委員

 久しぶりに中島先生の授業を拝見しました。学校が変わり少し心配していましたが、杞憂でした。元気な様子でとても嬉しかったです。現在学校を移ったばかりでもあり、授業を作り上げている状態ということでした。
生徒のアウトプットに持っていくまでに本文理解をどのようにしたらいいのかがテーマとなっているとのことでした。teacher talkを大切にすると生徒の態度が変わり、生徒の英語が変わったと実感しています。授業のteacher talkはすべて書き出しています。今回はteacher talkにフォーカスしていて、生徒のアウトプットに持っていくまでの様子でした。LANDMARK English Communication I Lesson 4 Gorillas and Humansの授業でした。
前時の復習として、ペアでインタビューをする活動から始めています。その後、中島先生が生徒と双方向で内容理解を行います。代表生徒がレポートし、前時の復習としました。
Oral introductionへと続きます。生徒に語りかけるように話しています。ゴリラの胸を叩く様子をビデオで見せ、その理由を考えさせながら生徒の英文を読む動機付けを高めています。
Oral interactionでは、ペアで内容を共有した後、中島先生が生徒と内容を深めていきます。その後、文法の説明を行った後、音読へと続きます。最後にまとめとして、本時で学んだことを、生徒が中島先生とやりとりしながら発言しています。
ビデオ視聴の後、補足があり、日頃からキーワードを使ってリプロダクションを行い、書かせてもいるので、生徒はスラスラと言えているとのことです。
まとめとして、工藤先生がこの授業の良い点を以下のように挙げています。
①規律がしっかり決められていて、守られている。
②生徒は、先生の英語も、友だちの英語もしっかり聞いている
③先生の英語(の発音)がclearでわかりやすい
④ペアで情報やアイデアを共有する機会が多い
⑤Q&Aを通したインタラクションが多い
⑥教科書の英文を頭に入れるための活動が豊富
⑦教科書本文を生徒にひきつける発問
⑧能力が非常に高い生徒への個別指導
課題として、高校英語の大事なところとして、英語を発信させる際には、「覚えたものをほぼそのまま使う」方法と「自分で英文を作って使う」方法の両方のトレーニングが必要である。単語レベルではなく、文で言わせるトレーニングが必要となってくる。この二つの車輪をどう回していくかを一緒に考えていくことが必要であるとお話されました。
中島先生の授業及び工藤先生の解説を拝見して、大いに刺激を受けました。私自身、日々悩みながら授業を行っていますが、授業改善に終わりがないことを再確認しました。
(文責 群馬県立板倉高等学校 武田 富仁)



体験型ワークショップ(11:15~12:15)
「教科書を使ったAL授業の魔法のレシピ」  
発表者:山本 崇雄(都立武蔵高等学校・附属中学校)
司 会:豊嶋 正貴(文教大学付属中学校・高等学校)

Active Learningの第一人者として知られる山本崇雄先生は、自律した学習者を育てることをご自身の英語教育の目標にされ、それには、教科書の学びを実生活につなげることによって、生徒が将来英語を使って何かをすることをイメージしやすくすることが大切であると話されています。自律した学習者を育てるために、どのような実践をされているのかをワークショップを通して体験させていただきました。
 ワークショップは、次の3つのルールのもとペアワークを主体に進められました。
<1. Use four skills and move a lot in class.  2. Enjoy making mistakes.  3. Say “Thank you.” when your friends do something for you. >
Warm-upのペアによる縦横ドリルから始まり、本日取り上げる教科書の写真を見て、これから読む話の内容を予測した後、Why do you study English?というBig questionが与えられました。この質問はレッスンを通して自分に向けられている質問です。Jigsaw reading、読んだ内容を相手に伝える、 Sight Translationなどの活動を通して内容理解が進められました。レッスンの最後は本文の内容を自分の英語で語った後、生徒にBig Question: Why do you study English?が再び与えられ、その質問について各自が意見を交換し、深め合うことによって教科書の学びが実生活とつながっていきます。
 教科書の学びが、生徒が将来、英語を使って生きていく実社会へと有機的につながっている指導は、一朝一夕にはできませんが、目指す生徒像を思い浮かべ、授業に課題意識を持ちながら、生徒の自立を促し、学ぶ楽しさを実感させることができる授業を目指したいという思いを山本先生から頂きました。
(文京区立第十中学校 原田博子)



「ランチセッション:授業の悩み、共有しませんか?」(13:10~13:40)
   (昼食を食べながら、気軽に話しをしませんか?)                    
相談者:悩める新人・若手教員
聞き手:太田 洋  (東京家政大学)
    増渕 素子(稲城市立稲城第一中学校)

ランチセッションでは、30分の時間を使い、増渕素子先生、太田洋先生、ステージ上の若手教員3名、そして、フロアの先生方と悩みを共有した。挙げられた悩みとして、コミュ英の授業で生徒にサマリーやリテリングをやらせたいのだけれども、生徒のレベルが高くなく、どうすればよいか。中学校の先生からは学年を複数担当しているが、やり方が違う先生とどう授業を進めていけば良いか、受験に向けてこのままの授業でよいのか、フロアからは、bとdを間違えてしまう生徒の対応や何の目的で音読するのか、中学2年生の授業で学習意欲が低く、どう対応すれば良いかわからないなど、様々な質問が挙げられた。
 解決策として、サマリーやリテリングに関しては、最初は、1文や2文など、ハードルを下げながら自分の言葉で語らせる。最初は教科書の言葉でいいから語らせる。名和先生からは、人間は感情の動物で、自分の好きなことじゃないと話す気にはならないので好きなことから話させてはどうかという意見が挙げられた。複数の教員で1つの学年を教える場合は、ゴールそして教材の共有化をする。受験に向けては、入試問題を見て、授業じゃないとできないことをする。bとdに関しては、発達段階に応じて○をあげるなど、悩みに応じた解決策が出た。
 すべての悩みに対応する前に時間は来てしまったが、これからも英語授業研究学会は、様々な先生方の悩みが共有でき、ベテランから若手まで切磋琢磨できる温かい学会でありたい。

ビデオによる授業研究と協議(中学)(13:50~15:10)
「中学1年生:教科書本文から言語活動につなぐ授業
― 到達目標『My Hero』(好きな人物紹介)に向けた教科書の活用 ―」
授業者:谷口 友隆(相模原市立大野南中学校)
司 会:今田 健蔵(東京大学教育学部附属中等教育学校)
解  説:高橋 一幸(神奈川大学) 
研究協議サポート:関東支部運営委員

中学1年生、11月。まだあどけなさが残る生徒は、英語の授業が始まると大きな声で元気良く先生と英語のあいさつをする。そのまま日付や曜日、天気の問答をチャンツのリズムに合わせてテンポよく生徒に質問していく。生徒は一つひとつ元気よく答えていく。教師は全体で答えさせるだけでなく個人にも確認する。
 前時の復習はピクチャーカードを使いながら確認していく。既習の単語はフラッシュカードを用いてテンポよく発音と意味を確認する。重要語句や意識させたい文は、全体や個人にリピートさせながら意識づけさせる。
 本時の目標は、ブラウン先生の妹Jeanをブラウン先生になりきって紹介することである。口頭による教科書本文の導入では、そのゴールを見据えてレディネスを作りながら行われていく。また、初出の三人称単数現在形の否定文doesn’t についても触れる。文法を導入するときに授業者が意識しているのは、意味と形式をつなぐことである。生徒が理解できる場面の中でターゲットとなる文を繰り返し聞かせ、推測させる。要点を絞ったすっきりとした板書が、さらに生徒のインプットを促す。
 導入部ではすべての情報を与えてしまわず、CDで聞き取らせる情報と教科書を開本させ読み取らせる情報を残しておく。こうすることで生徒に「聞こう」、「読もう」という動機が生まれる。導入で聞き取った情報を文字で確認しながら音と文字をつないでいく。導入で触れられなかった単語は、日本語を使用しながら説明を加える。
 音読練習では、全体やペア、個人と丁寧に行われ、表現活動へとつなげていく。黒板には導入で使用されたピクチャーカードや語句が残っている。生徒は教科書から目を離し、それを手掛かりにJeanを紹介する文を生成していく。ここで驚いたのが、生徒によって発話している文が違うということだ。つまり、生徒は教科書を暗記するのではなく、教科書で学習した内容を使って表現しているのだ。活動に熱中する生徒を支援する教師。しばらくして時間切れを伝えると、「もっと時間がほしい」と生徒は訴える。自発的な学習者が生まれていた。授業者は、「生徒が達成できる中で最も難易度の高い課題の設定」を意識しているそうだ。
生徒の学習意欲はこのように、達成目標を明示すること、また達成感を味わわせることで高まっていく。そのために教師がスモールステップを踏みながら全体だけでなく、1対1の場面を作り日々の授業で生徒とのラポートを築いている。その結果、クラス全体があたたかく、一体感がある。このような環境が、生徒が安心して課題に挑戦し、力を伸ばすことを可能にしているのだ。
文責:高橋ひろみ(小田原市立泉中学校)


講 演(15:20~16:40)
  「新学習指導要領から見る小中高の役割」
講 師:金森 強  (文教大学)
司 会:阿野 幸一(文教大学) 

 2017年度に小中の新学習指導要領が発表され、また、今年度中に高校の新学習指導要領が公表されるという現状の中で、新学習指導要領に基づいた小中高の英語の指導者としての役割を考えなくてはならない。その視点から見ていくと金森先生の講演は、私のような高校の教員にとって、とても良い勉強となった。
  平均寿命が毎年伸びていく昨今、私たち教員は子供たちに、これから起こるであろう様々な事に対応できる力をつけさせていく必要がある。そのことを踏まえたうえで、単に知識を記憶するだけでなく、これからの児童・生徒に身に付けさせたい学力として
知識を用いながら技能習得する学習を通してCreativity, Critical thinking, Communication, Collaborationという力をつけさせることを目標とした指導をしていく必要があるということであった。
  具体的に、金森先生のお話を拝聴して、とても興味深く思えたのは、次の3点であった。第一に、コミュニケーションにおいて、相手の話を「聞く」➞「聴く」➞「訊く」に発展して、それがやがて聞いた本人が発信したくなるという流れを作るために、学習者の発達段階にあった「質」の良いインプット活動が必要である事。それから、良質なインプット活動との関連でinteractionの指導を通して「人との関わりを大切にし、豊かに表現できる児童・生徒の育成」が必要であ事。第二に、授業内外で「発信したくなる工夫」の重要性(たとえば、伝えるための十分なインプット、発話練習、伝えたい気持ちへのさらなる刺激、伝える時のモデルの提示などの工夫が大事であること。)第三に、CLILに基づいた思考スキルの形成(Remembering, Understanding, Applying )
文化的気づきを促すことによる、異文化コミュニケーション能力の向上を図るということであった。
  来年4月に高校に入学する生徒が主な対象となる、2020年度からの大学入学共通テストに向けて、指導目標・指導内容の再検討が叫ばれている現状の中で、英語の教員として金森先生の示唆に富んだ講話から学んだことを生かして、これから日々の授業実践において、子供たちに21世紀型学力をつけさせていく重要な役割を担っていきたいと強く感じた次第である。
                      鈴木千貴(横浜市立桜丘高等学校)


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