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活動記録

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2018/05/05

関東支部第22回春季研究大会報告

Tweet ThisSend to Facebook | by KONTA Kenzo
中学校授業研究
「中学2年:日々の授業で即興力と表現力を伸ばす」
授業者:太田裕也(東京都・八王子市立第六中学校)

 提案されたのは、One World English Course2 Lesson8 “Water Problems”を扱った授業であった。この単元では、新出言語材料は受け身の用法であり、この用法を身に付けることはもちろんのこと、「自分の意見を積極的に発表する」ということも単元の目標の一つである。本授業は9時間扱いの第8時で、前時までに新出言語材料の学習は終え、本時の目標は「アフリカの水問題に関わる文をもとに自分の意見を積極的に発表する」であった。実際、授業の最後には教科書本文+自分の意見一文を加え、ペアで発表し合うことができており、生徒は目標を意識していることがわかった。授業者の太田先生曰く、「普段行っている授業をそのまま公開し、次の授業に生かしていきたい」とのことであった。
 授業は、英語のスモールトークから始まり、先生が最大限英語を活用し、多くのインプットを与えていた。質問を投げかけ、インタラクションを大事にしている授業でもあった。また、ICTを有効に活用し、チャットで使える表現や教科書本文を前方に提示したり、教科書題材に関わる実際の映像を見せたりする工夫もあった。様々なバリエーションの音読練習を行っており、引き出しの多さに太田先生の学び続けている姿勢を感じた。
 参観者からは、「発表後に書くという流れがよい」「一文付け足しで自分の考えを述べる活動は、教科書本文をもとに新指導要領の思考力・判断力・表現力を育成できるよい活動である」等があげられた。一方、「映像のタイミングは適切だったのか」「発表後はクラス内でのシェアまでもっていかせたい」等の意見もあった。分析者の谷口友隆先生からは、日々の授業で生徒の即興力と表現力を伸ばしていくために必要なこととして、「Goal:現在地点の見極めと目標の設定」「Plan:生徒目線の学習計画」「Scaffoldings:学習支援・つまずきへの支え」が提示された。Student-Oriented Classをつくり上げるためには、教師の「生徒との信頼関係と一歩踏み出す勇気」が不可欠であるというメッセージが心に響いた。(筑波大学附属中学校 中島真紀子)


高等学校授業研究
「高校2年コミュニケーション英語Ⅱ:教科書の内容を大切にするアウトプット活動の工夫~生徒が動く授業を目指して」   
授業者: 松尾美幸(岩手県立不来方高等学校)
(前岩手県立福岡高等学校)

 授業者の松尾先生の前任校の県立福岡高校では、「英語科授業改善プロジェクト E-DASH PLAN」というプロジェクトを実践している。具体的には、2017年より、知識を「生かす」「活用する」視点からCAN-DOリストの活用。多様な(5領域の)言語活動を組み立てた生徒主体の授業を通して行われる「思考力・判断力・表現力」の向上。生徒の頭・体・心が「動く」授業の実践。の3本柱が中心の教科指導ということであった。
 今回のビデオ授業の内容は、「アパルトヘイト政策による差別撤廃や人権のために闘った人物についての調べ学習に基づいた発表が中心であった。松尾先生が実際に授業を展開していく上で、意識して工夫をされていた点は次の通りである。1.グループ内での作業や練習を通して学び合いを推進。2.6人の異なる人物について知る活動に意味を持たせるために、比較して共通点を探す活動を設定。3.本文に書かれている客観的な事実や情報の伝達に終わらない、意見や感想のやり取りを含むアウトプット活動の設定。4.世界の問題を生徒自身の事として捉える機会の設定。1回だけの授業のビデオを見て、上記の4つの工夫を要した点がすべて見えたわけではないが、松尾先生の授業を視聴して考えたことは、英語に対する苦手意識が強い生徒もいる学習集団の中で、CAN-DOリストを用いて、「やればできる」感をうまく体験させていたという事だった。また、PresentationやDiscussionの段階において、自分の考えを事前に準備したあと、比較的学力の高いと思われる生徒もグループ内での他の生徒にわかりやすく英語で説明することができたり、偉人の共通点や相違点に触れながら、自分の意見を相手に伝えることができているという印象を受けた。このような活動をいかに円滑に進めていくか、また、どのようにできる限り個々の生徒の評価をしていくのか難しい点も数多くあると思うが、とてもよく練られた指導手順と指導の工夫の仕方、生徒の観察の仕方が私にとってよい勉強となった。私の勤務校も学力差があるので、松尾先生の実践を私が担当する生徒の実態に合わせて、アレンジして取り組んでみようと思う。(横浜市立桜丘高等学校 鈴木千貴)



実践発表1
「授業中の言語活動から考えた評価方法」
大森博(練馬区立中村中学校)

  授業の中で実践している言語活動をどのように評価するのか,またそのテストが生徒の能力を適正に測るものなのか,このことはテスト作成において常に課題であるように思います。今回の大森先生の実践発表は我々が抱える疑問に答えてくれるだけでなく,テストを作る上で我々が一つ一つのテストに真摯に向かい問題を作成していかなくてはならない責任があることを改めて教えてくれました。
 まず,先生が評価にあたって心がけていらっしゃる4点について話をしていただきました。一つ目は,テスティングポイントの明確化➡適切なフィードバック➡指導への還元というサイクルを大切にしていることです。テストの問題においてどのような力を見ているのかが明確であれば,教師と生徒がお互いに問題点をシェアしやすいのは言うまでもありません。次に評価するのに適した方法であるのか,「妥当性」を挙げられていました。これは私自身,テスト作成時に悩むところです。実際,正しく発音できているかなどはペーパーテストではほぼ測れないと思っています。次に明確な評価基準,「信頼性」です。これは1学年複数の教師でテストの採点を行う場合は特に重要なことであると思います。4つ目は「オーセンティックな場面設定」です。この点に関しては興味深いと思いました。確かに,実際にありそうな場面設定であるほうが問題に取り組む生徒のモチベーションは上がると思います。
 次に先生が実際に行っていらっしゃるテストの例を用いながら,テスト内容について細かくお話をしてくださいました。その中でも,スピーキングのテストとライティングのテストの評価方法の例はとても参考になると思いました。評価項目が明確にされており,またオーセンティックな場面設定で生徒が取り組みやすい問題になっていました。特に「自分の中学校のホームページを作成する」というライティングの問題は,きっと生徒はテスト中ワクワクしながら書いたのではないかと思います。
 大森先生の講義を通して,評価の大切さを改めて学ぶことができました。大森先生の次の言葉は私の中で最も印象に残りました。「テストの結果は自分の授業のあり方になります。なぜなら,自分の授業が反映されているからです。」(新島学園中学校・高等学校 中島利恵子)


実践発表2
「creative writingの指導と評価」
発表者:萩原 一郎(都留文科大学・神奈川大学)

 萩原先生はこの3月まで6校38年間、神奈川県立高校の教諭として勤務されていた。英語が苦手な生徒が多い学校に勤務することが多かったが、今年度から教員養成に関わりたく現在の勤務校になった。私自身英語が苦手な生徒が多い学校に勤務をしており、今回もとても興味深く拝聴した。
 二文以上の英文が書けない生徒が多いので、一文による英文自己表現活動を行ってきた。具体的には以下のように示された。①与えられた文法事項や表現を用いて英文をつくる。②日本語で英文の背景を説明する。③与えられた文法事項が入った英文を続けてまとまりのあるものとする。
 生徒の一例を挙げる。I will never forget the day when my sister was born.
 「私の妹が生まれたのは、おととしの夜、お昼には生まれるはずだったのに難産で何時間もかかってやっと生まれました。待望の妹だったのでうれしさもひとしおでした。」
 次にどのように書かせるかについて、次のように述べている。①書かせる文型や文法事項に十分習熟させる。②使うパターンを生徒が確認できるようにする。③指示の出し方を工夫する。④適切なモデル文を提示する。この際の例文の質が重要である。先輩の作品があるとなおよい。
 まとまった文章による英文自己表現についても説明された。①モデル文を示す。②使えそうな語句を示す。③英文を書く順序を指定する。④Q&A方式で骨子を作らせる。例えば、英語が苦手な生徒向けに、性格を表す語句をあらかじめ示しておくとより効果的である。
 また、5行詩づくりについても説明された。苦手な生徒でもできるようになっている。作り方のパターンとして以下に示された。
Line1: Noun Line2: Two adjectives  Line3: Three present participles  Line4: Four-word phrase  Line5: Synonym for noun or closely related noun
 生徒作品:「HOME / Warm, comfortable / Living, connecting, maintaining / You are a necessity / My home」
 当日もフロアーでペアになって5行詩づくりに挑戦した。自分の気持ちを表現することができ、とても興味深かった。
 その他、英語で詩を書く活動、修学旅行レポートを書く活動、4コマ漫画を書く活動など生徒の作品を多数紹介された。
 最後に、自己表現活動の教育的意義として次のことを挙げている。①生徒とのコミュニケーションをとる。②学びあいの集団をつくる。③言語使用を体験させる。④学習したことを定着させる。
 中学校の実践はあるが、高校のcreative writing の実践はあまりない。該当の文法事項を使って生徒に書かせてみる。誰でもできるのでぜひ一度試していただきたい。
 まだまだ書き尽くせないので、例会にぜひお越しいただき、萩原先生のバックナンバーをお読みいただければ幸いである。(群馬県立板倉高等学校 教諭 武田 富仁)


講演: 「テストが導く英語教育改革~『無責任なテスト』への処方箋」
講師: 根岸雅史(東京外国語大学) 
             
東京外国語大学の根岸先生によるとても多くの示唆に富んだご講演であった。本来的にテストは生徒を診断する、生徒の能力をはかる、成績をつける、指導の成否、そして、生徒の勉強を促進するために実施される。各問題ではテスティングのポイントを絞り、能力をはからなければいけない。現状のセンター試験、GTEC、英検、TOEICなどの民間のテストには総合問題が存在しないが、未だに中学や高校の定期試験から総合問題はなくならず、なにを問うているのかが不明瞭なものが多く存在する。スピーキングのテストでは、普段の授業で即興の会話をしているにもかかわらず、テストではスピーチなどの暗唱のテストが実施されたりと指導と評価が乖離しているケースもある。ライティングに関しても、減点法で採点をしてしまうと、たくさん文章を書けば書くほど、生徒のエラーが増えてしまい、損をしてしまう。
また定期試験で既習のパッセージを使用しているテストも多く見られる。この場合、理解力ではなく、暗記力を問うものになってしまっている。結果として、生徒が黒板を丸写しし、授業中にカラフルなノートを完成することが目的化してしまう。
テストを作成する際は、テストデザイン、テストのスペックの順で検討し、そして、テスト作成を行う。各問題では各技能のなにを図るのか。例えば、リーディングならば、詳細なのか概要と問う問題なのか。ライティングならば、全体的採点なのか、分析的採点なのか。意見文なのか、描写なのか、物語文なのか、テキストタイプによってももとめられる力は変わってくる。テスト方法のレパートリーが多ければ多いほど、生徒の力を把握しやすくなる。
評価の方法が変われば、授業が変わる。英語の授業を通し、学習者自身が自ら気づき、処理できる自律した学習者の育成を目指していかなければいけない。(千葉県立東葛飾中学校・高等学校 教諭 江尻 友也)




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