会長就任にあたり
加賀田哲也(大阪教育大学教授)
このたび会長職を拝命しました大阪教育大学の加賀田と申します。 令和時代が幕を開け,その記念すべきときに会長職を任され幸甚であるとともに,その使命と責任の重さを痛感し,身が引き締まる思いであります。 私自身は,英授研には現・本学会特別顧問(歴代会長)でいらっしゃる樋口忠彦先生のお誘いで入会し,今年で25年が経ちますが,今でも英授研には育てていただいております。 さて,目下,日本の英語教育は戦後最大の変革期を迎えようとしております。一方,いまなおさまざま懸念材料を抱えていることも事実です。文科省からは,矢継ぎ早に教育施策が出されていますが,公表されるひとつひとつの施策を単に受動的に受け入れるのではなく,つねに問題意識をもって自問し,その必要性,実行可能性などを含め,多様な角度から個々の施策について,深く考えていく必要があるかと思います。幸い,英授研には「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて,先代からの知識や実践が豊富に蓄積されておりますので,それらを大いに活用していただきたいと思います。こういった意味で,学習者と教師の現実に目を向けて,「理論」と「実践」の両方を融合,往還する英授研の存在と役割は今後ますます重要になることは確実です。 新しい時代を迎えるにあたり,今一度,何のための外国語教育か,「グローバル人材育成」といったスローガンのもと,この令和という激動の時代,予測不可能な未来社会を生きるにあたり,外国語教育を通して,どのような資質・能力を育成すべきか等,外国語教育の抱える根本的な命題に立ちかえり,改めて議論する時間を持つことも必要かもしれません。 このような場としても本学会を大いに活用していただきたく思います。本学会は皆さまに開かれた学会です。決して敷居の高い学会ではありません。皆さまと英授研との関係性をこれまで以上に深め,日本の英語教育の質の底上げのために精進するとともに,英授研がさらに活性化し,日本の英語教育の発展のための「舵取り役」のひとつとして,その役割を果たすことができることを切に願っております。そして,何よりも教室で子ども達,教師の笑顔が見られ,明るい声が聞けるような希望に満ち溢れる英語授業を目ざしたいものです。今後とも,ご支援・ご協力の程,何卒宜しくお願い申し上げます。 |